2023年8月18日、能美市役所にてディスカバリーアートの審査会が行われました。

◆能美市長賞 1点今回の選定した中で最も優秀な作品を選定。
◆審査員特別賞 6点各審査員が特に優秀と判断された作品1点を選定。
◆ディスカバリー賞 10点新たな可能性に満ちた個性的な表現の作品。

第1回目の大々的な公募ということで、どれくらい応募点数があるのか心配だったが、72名から137点もの力のこもった作品が出品され、審査するのがとても楽しかった。多い人は3点も出していて、作り手の熱量を強く感じた。作品にバリエーションもあり、個性的な作品が多いのも印象的だった。

 受賞した作品はそれぞれ力のあるものばかりが出そろっている。これから鑑賞する人たちには、作品の背景や作品世界を読み解くように味わってほしい。それぞれに独特の世界観があるので、それを覗き込むように楽しんでいただけたらと思う。

秋元雄史

〇東京藝術大学名誉教授、金沢21世紀美術館特任館長、KUTANism総合監修


私は月に1回、障がい者施設「星が岡牧場」を訪れ、利用者の方々と私の彫刻の断片を使って色付けなどの制作活動をしています。そこで人生で初めて障がい者の方々に出会いました。それまで私は美大などで「美術とはこういうものである」というような教育を受けてきましたが、そこで美術とは全く関係のない人たちが「これが個性です」といわんばかりに表現していることに衝撃を受けました。芸術に携わるものは皆、生涯を通じて個性を追い求めているのですが、彼らは全く違ったアプローチの仕方でしっかりとそれを持っている。そのことに何かすごいショックを受けたことを憶えています。それからは機会があれば、障がい者のアート作品を見るようになっていきました。

障がいがある人とない人の線引きがどこなのかはわかりませんが、彼らが持っている力はなんというか・・・やはり彼らにしか持ちえないものをいっぱい持っているんです。それに驚いて感動することがよくあります。障がいがある人が制作したから、というのではなく、全く違う個性の一人一人が表現しているものとしてみると、すごくパワフルで可能性があるものだなと思います。今回もいろいろな表現の仕方を見せていただき、とても楽しい時間を過ごせました。ありがとうございました。

山下晴子

○彫刻家。エジプト・モロッコ・ヨーロッパのほか、石川県内でも数多くのパブリックアートに携わる


ふだん僕が現代の作家の美術作品をみるとき、本人のパーソナルな部分に思いを馳せることはあまりありません。ところが今回の作品たちはいつも僕が見ているものとはちょっと違って、どういう障がいを持っているのか、どういう背景で作品をつくっているのか、ということに注目しながら見るという新しい体験ができました。一方で作品単体だけで見るのはなかなか難しいなと思ったりもしました。

障がいを持っている人は自分が経営する会社にも同級生にも何人かいますが、内面の深い部分に接点を持つ機会はこれまでなかなかなかった。選考会ではなるべく作者の「なぜこういう作品をつくったのか」というところにふれようと、思いを巡らせながら選ばせていただきました。

 僕にとってはアート展の審査員は初めての経験でした。これまで何度か断ってきましたが、今回参加してみて、とても面白く勉強になりました。フレッシュな作品たちに出会えたこともとても良かったと思います。

上出惠悟

〇九谷焼窯元「上出長右衛門窯」六代目。合同会社「上出瓷藝」代表


初めて審査員というものを務めさせていただきました。作品についてはもっと暗いものが多いのかなと思っていましたが、違っていました。それぞれの作者が明日を見ているというか、希望のようなものを求めているのかな、という印象を受けました。そうした思いのこもった作品一つ一つを大事にしなければと思いました。今後も可能な限り、このアート展を続けていっていただき、能美市の文化を発信するものになっていくことを期待しています。

荒田 稔

〇「なごみの郷」理事長


私が働く九谷焼の体験施設には、障がいのある方々が週1回、陶芸サークルを楽しみに来られます。そこでの長期間おつきあいがあったことから、今回のご縁につながったとうれしく思っています。

 審査会で作品を選考するときはそれほど時間はかからず、すぐに直感で決めていきました。選んだ理由を言語化することはできません。「この作品をTシャツにして着たい」という感じで、ひらめきにまかせて選んでいきました。その時間はすごく楽しく貴重な時間でした。ありがとうございました。

佐久間 忍

〇「能美市九谷焼美術館体験館」施設長